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ヒカリゴケが群生する光前寺から飯島陣屋跡、西岸寺を訪ねて

熱田神社から31kmほど走って、次の目的地である光前寺(こうぜんじ:駒ヶ根市赤穂29 ☎0265-83-2736)に向かう。

光前寺は、平安時代の貞観2年(860)に本聖(ほんじょう)上人が開山したとされる天台宗の寺で、広大な境内の全域が国の名勝に指定されている。

光前寺の参道と三門

仁王門を過ぎると長い参道が続き、参道に沿って林立する杉並木の大きさがこの寺の歴史と風格を感じさせてくれる。
上の画像は嘉永元年(1848)に再建された三門で、十六羅漢が祀られているという。

光前寺の苔

境内の大部分は杉などの大木に囲まれて陽光を遮り、苔の成育に最適の環境となっている。この道は立ち入り禁止となっていたのだが、苔が地表を覆っていて絨毯を敷いているようだ。

光前寺のベストシーズンは桜の咲くころと紅葉時期だとは思うのだが、その間の4月中旬から10月の下旬までの時期は、参道にある石垣の石と石の間にヒカリゴケを観ることができる。
http://www.kozenji.or.jp/contents/sakura.html#koke

光前寺 参道のヒカリゴケ

ヒカリゴケは日の光の反射によって光るものなので、あまり接近してカメラを向けると光が少なくなってしまってうまく撮れないと友人から聞いたことがある。ヒカリゴケを見つけたその場所から動かないで、ズームで画像を拡大して撮影すると、神秘的な光を放つ姿を写すことが可能になるので、この寺を訪ねるチャンスがあれば一度試されれば良いだろう。私も以前この寺を訪れた時はヒカリゴケをうまく撮影できなかったが、今度はうまく撮ることができた。

光前寺本堂

三門を抜けるとすぐに本堂に辿りつく。この本堂も何度か焼失したらしく、現在の建物は嘉永4年(1851)に再建されたものである。

光前寺 本堂の彫刻

この本堂の庇の下の虹梁(こうりょう)に龍が彫られていて、その彫刻が面白かったので思わずシャッターを押した。

光前寺 早太郎像

本堂の外陣に霊犬早太郎の像がある。この光前寺には次の様な伝説が伝わっている。
今からおよそ700年程昔、遠州府中(静岡県磐田市)見付天神社では田畑が荒らされないようにと、毎年祭りの日に白羽の矢の立てられた家の娘を、生け贄として神様に捧げる人身御供という悲しい習わしがあったのだが、祭りの夜に大きな怪物が娘をさらっていくのを見た旅の僧・弁存がこの怪物と闘うことを決意した。
当時この光前寺には早太郎という強い犬が飼われていて、弁存は早太郎を借り受けて急ぎ見付村に戻り、早太郎が闘うことによってこの怪物は見事に退治され、村の災難は除かれたのである。
早太郎はこの戦いで傷を負ったために死んでしまったのだが、早太郎を借り受けた弁存は、その供養にと『大般若経』を写経して光前寺に奉納し、その経本は今も残されているという。そして早太郎は、不動明王の化身であり、霊犬として広く信仰を集めるようになったという話である。
もちろん物語風に脚色されているのであろうが、この寺に早太郎という犬がいて悪党退治に一役買ったというような話は実際にあったのではないだろうか。

光前寺 三重塔

本堂の左に早太郎の墓があり、さらに行くと文化3年(1806)建造の美しい三重塔がある。
南信州で現存している唯一の塔であり、現在長野県宝に指定されているようだ。上の画像の右にも、霊犬早太郎の像が建立されている。

光前寺 客殿の庭園

再び参道に戻って、左に折れると客殿がある。ここの庭園は築山泉水庭である。夢窓国師が作庭したという説もあるようだが、寺のパンフレットには「築造年代、作者等は、不明」と書かれており、夢窓国師が作庭したことを裏付ける記録は残されていないようだ。
美しい庭を眺めたあとで、茶菓をいただけるのはありがたい。この客殿の縁の下にもヒカリゴケを見ることが出来る。

旧竹村家住宅

光前寺から車で1分程度北に向かって走ると、国の重要文化財に指定されている旧竹村家住宅(駒ヶ根市赤穂26 )がある。
この建物は、以前は駒ヶ根市中沢大津渡(おんど)にあったのだが、昭和41年(1966)に重要文化財に指定されたのち駒ヶ根市が譲り受けて、昭和43年(1968)にこの場所に移築したものだそうだ。

竹村家住宅内部

竹村家は江戸時代には代々名主をつとめた家柄で、この家が建てられたのは江戸時代中頃と考えられている。内部も公開されており、上の画像は土間から部屋を撮影したものである。

駒ヶ根市郷土資料館

その隣に駒ヶ根市郷土館がある。この建物は大正11年(1922)10月に旧赤穂村役場として建てられ、その後駒ヶ根市役所の旧庁舎としても用いられたようだが、昭和46年(1971)に駒ヶ根市庁舎新築に伴いその中心的な部分がここに移築されたという。

駒ヶ根市郷土資料館内部

内部は考古資料や農具などが展示されていたが、このレトロな建物の木のぬくもりを感じながら、廊下を歩いているだけでなんとなく癒される。

次の目的地である飯島町歴史民俗資料館飯島陣屋(飯島町飯島2309 ☎0265-86-4214)に向かう。専用の駐車場は用意されていないが、陣屋から100mほど南にある無料の町営駐車場を使えばよい。

飯島陣屋跡

江戸時代の寛文12年(1672)に、飯島を含む大島(松川町)以北の旧飯田領が幕府領に編入され、幕府は当初片桐町(現:松川町)に陣屋を置いたが、5年後の延宝5年(1677)に飯島町に移転され、その後飯島陣屋は幕末に至るまで、伊那郡の幕府領を統括する拠点となった。
明治維新後は信濃国の旧幕府領は伊那県となり、旧飯島陣屋を伊那県庁としたのだが、明治3年(1870)に伊那県の北半分が中野県に移され、翌明治4年(1871)に筑摩県が発足して伊那県は廃止となり、役目を終えた旧飯島陣屋の建物は明治5年(1872)に解体処分されたという。

伊那県地図

明治維新になって「伊那県」ができたことはどこかで読んだことがあるのだが、これまでは「伊那県」は南信州にあったとばかり思っていた。しかし、飯島陣屋で頂いたリーフレットの地図をみると、信濃国の旧幕府領を中心に「伊那県」とされたので飛び地だらけであり、三河にも「伊那県」となった地域があったことがわかる。こういうことは活字だけを読んでいてはなかなか頭に入らない内容だ。

現在の「飯島陣屋」の建物は、平成5年(1994)に、当時と同じ位置に、同じ構造様式で復元されたものであるが、展示物は手で触っても良いし撮影も自由であることはありがたい。

飯島陣屋跡 内部

代官になった気分でこんな席に座ってみてもよいし、お白洲の前に座って、遠山の金さん気分になっても良い。生まれて初めて偉い人が乗るような駕籠に乗ってみたが、想像していた以上に窮屈な空間だった。
最後に囲炉裏端でお茶のサービスを受けたが、いろいろ説明を聞きながら結構楽しく過ごすことが出来た。

西岸寺 山門

初日の最後の目的地である西岸寺(せいがんじ:飯島町本郷1724 ☎0265-86-3939)に向かう。
西岸寺は蘭渓道隆を開祖として弘長元年(1261)に創建された臨済宗の名刹で、室町時代には七堂伽藍を造営して隆盛を極めたが、天正10年(1582)の織田信長が飯島城を攻めた際にこの寺も兵火にかかって焼失してしまったという。
天和元年(1681)に大極和尚がこの寺を再興したのちも何度か火災に遭遇し、現在の建物は、本堂は昭和38年に、その他の諸堂は昭和41年に再建されたものだそうだ。
内部の拝観はできないが、境内は自由に散策することができる。

西岸寺 本堂とカヤ

この寺で是非見ていただきたいのが、山門と本堂の真中にある樹齢500年以上あるというカヤの木。説明版によると樹高18メートル余り、目通りの周囲4.8m、枝張り東西17m、南北16mなのだが、このカヤの木の地上2mの樹間から1本の杉の木が生えていて、それがすでに高さ15mあまりにも伸びている。上の画像でカヤの幹の中央から真っ直ぐに伸びているのが杉の木である。
このカヤの木は、杉の木を抱きかかえているように見えることから、「抱寿貴(だきすぎ)のカヤ」と呼ばれていて、飯島町の天然記念物に指定されている。

西岸寺の拝観を終えて、予約していた中川村の望岳荘に向かう。

ハチ博物館

望岳荘は中川村が南向(みなかた)小学校の跡地に建てた宿泊施設で、館内にハチ博物館があるので向学のため見学させてもらった。伊那谷は古くからタンパク源としてハチの子を食用した歴史があるが、地元の蜂研究家の富永朝和氏がハチの習性を熟知して作らせた世界最大級の蜂の巣などなかなか見ごたえがあった。

望岳荘からの眺め

公共の宿なので、正直言ってそれほど期待してはいなかったのだが、設備は綺麗で充実しており、部屋や大浴場からは雄大な中央アルプスを一望でき、地元の田舎料理をとてもおいしくいただける旅館で大満足だった。

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【ご参考】
このブログで夏の暑い時期にいろんな地域を旅行して記事にまとめました。
よかったら覗いてみてください。

信州の諏訪大社を訪ねて~~諏訪から南信州方面旅行1日目
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-39.html

御柱祭の木落し坂から名所を訪ねて昼神温泉へ~~諏訪から南信州方面旅行2日目
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-40.html

世界遺産の越中五箇山の合掌造り集落を訪ねて~~富山・岐阜・愛知方面旅行①
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-199.html

飛騨古川から禅昌寺を訪ねて下呂温泉へ~~富山・岐阜・愛知方面旅行②
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-200.html

郡上八幡の歴史と文化と古い街並みを楽しんで
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郡上一揆と白山信仰のゆかりの地を訪ね、白川郷の合掌造りの民宿で泊まる
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-335.html

湖底に沈んだ「飛騨の白川郷」と呼ばれた合掌造り集落の話
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-336.html



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若いころはあまり歴史に興味を覚えなかったのですが、50歳のころに勝者が叙述する歴史が必ずしも真実ではないことに気が付き、調べているうちに日本史全般に興味が広がっていきました。

平成21年にBLOGariというブログサービスでブログを始めましたが、容量に限界がありバックアップもとれないので、しばらく新しい記事を掲載しながら、過去の主要な記事を当初の作成日にあわせて、4か月ほどかけてこちらのブログに手作業で移し替え、平成26年の1月に正式にこのブログに一本化しました。
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