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素晴らしい紅葉の古刹を訪ねて~~隠れた紅葉の名所・大門寺

毎年紅葉の見頃の時期を迎えると、あまり観光客の多い有名な場所はなるべく避けて、静かに紅葉を楽しめる場所を探すことが多いのだが、21日に訪れた茨木市の大門寺の紅葉は素晴らしかった。今年もいくつかの紅葉を楽しんできたのだが、なかでも大門寺の紅葉が一番気にいった。

大門寺の紅葉 の大木

大門寺は今年の新緑の頃にいくつかの古刹とともに訪れて、以前このブログに書いたことがある。小さなお寺ではあるが、参道も境内の紅葉は本当に美しく、別世界に来たようだった。

大門寺参道の紅葉

駐車場から参道を歩きはじめると、途中から空気が一変する。樹高20mはありそうな楓の木が参道に何本も伸びて枝を広げて太陽の光を遮っている。下から紅葉を見上げると実に色鮮やかである。

大門寺山門の紅葉

これが大門寺の山門である。この山門は南に向いているのだが、紅葉が空間を支配しているために陽光が少なく、またわずかな木漏れ日が周りの紅葉や白壁の美しさを一段と際立たせている。門には「摂津国八十八箇所霊場」の第50番の札所である旨の看板がかかっている。

この大門寺は正式名称を「神峯山大門寺金剛院」という真言宗の寺院で、以前は「青龍寺」と号していたらしい。
この寺院の歴史はかなり古く、寺伝では宝亀二年(771)に光仁天皇の長子である開成皇子(かいじょうおうじ:平安京を開いた第50代桓武天皇の異母兄)の開基で、その後弘法大師がこの地に来て、金剛、蔵王の二像を刻んで、当寺の守護神としたとある。

貞観年間(858-876)には本堂、無量寿堂、三重塔、御影堂、鎮守十二社権現拝殿、白山権現、護摩堂、鐘楼堂、中門、経蔵、楼門、奥院などの諸堂が甍を並べて隆盛を極めていたそうだが、建久(1190~1205)期の地震や元弘(1331~1333)期の兵火のために荒廃してしまい、現在の諸堂は快我上人空寿により江戸時代初期に再建されたものだという。

大門寺のイチョウの紅葉

山門を抜けると、まず色鮮やかなイチョウと楓の木が目に飛び込んでくる。

大門寺本堂

本堂は決して大きなものではないが、本尊の聖如意輪観世音菩薩(秘仏)ならびに四天王像はいずれも平安時代藤原期の仏像で国の重要文化財に指定されているそうだ。この日は写経会が行われており、写経会に参加すれば四天王像は拝観出来たと思うが時間がかかるので今回は諦めた。

大門寺聖如意輪観世音菩薩

パンフレットの画像を拡大してみたのだが、上が本尊の聖如意輪観世音菩薩(秘仏)、下が四天王像だ。
大門寺 001

大門寺の本堂前の紅葉

本堂のすぐ近くにある楓の大木は紅葉が一段と鮮やかで、また枝ぶりも素晴らしい。

大門寺弁天堂と菊

庭にきれいな菊の鉢が並べられていた。紅葉見物と菊花の鑑賞が同時にできるとは思わなかった。写っている建物は弁天堂と庫裏である。

大門寺の抹茶

紅葉の時期の2日間だけ御茶席が設けられていたので客殿の庭から見える紅葉を堪能しながら抹茶を戴いた。この素晴らしい景色はいつまで見ても飽きることがなく、随分心が癒された。大門寺は北摂の隠れた紅葉の名所としてお勧めしたい。

大門寺客殿からの景色

この寺を開いたのは桓武天皇の諸兄の開成皇子だと書いたが、開成皇子という人物を調べると面白いことがわかった。

開成皇子は天皇家の直系男子でありながら、正史である「続日本紀」には全く現れず、「元亨釈書」(日本最初の仏教通史:元享2年[1322]成立)、「本朝高僧伝」(元禄15年[1702]成立)、「拾遺往生伝」(12世紀前半)など、かなり後世に編まれた僧侶の伝記の中にだけ記されている人物なのだそうだ。母親が誰かもよくわかっていない。

これらの僧侶の伝記において開成皇子について明確に書かれているのは、大阪府箕面市にある勝尾寺を開いたということだけなのだが、北摂地区には勝尾寺、大門寺以外にも、開成皇子が開創したという寺伝を持つ多くの寺がいくつか存在する。

kaijou-map.jpg

たとえば高槻市にある本山寺、神峰山寺(かぶさんじ)はいずれも役行者(えんのぎょうじゃ)が開き、開成皇子が創建したという言い伝えがある。また高槻市の安岡寺(あんこうじ)も開成皇子が創建したという言い伝えのある寺院だが、次のURLで、この三つの寺はきれいに一直線上に並んでいることが紹介されている。
http://www.shoai.ne.jp/takatsuki/sanzanji.html

また高槻市にある霊仙寺というお寺も開成皇子が創建したという言い伝えのある寺院で、安岡寺、霊仙寺、大門寺、勝尾寺も地図で確認するとほぼ一直線上に並んでいる。この位置関係はどういう意味があるのだろうか。

役行者

役行者(えんのぎょうじゃ)は前々回の記事にも少し書いたが、634年に生まれ、葛城山や熊野、大峯の山々で修行を重ね、金峯山(吉野)で蔵王権現を感得し、修験道の基礎を築いたとされる人物である。その後、謀反の疑いをかけられて699年に伊豆大島に流刑となり、701年に疑いが晴れるも、同年の6月に箕面の天上ヶ岳にて入寂したと言われている。

また開成皇子の墓が勝尾寺の裏の最勝ヶ峰にあるのだが、いろいろ調べると北摂の山々は吉野・熊野などと同様に修験道の聖地であったようなのだ。開成皇子は修験道の世界に入り、北摂の寺院の創建にかかわった。開成皇子に関係のある寺院が直線状に並ぶのも何か意味がありそうだが、これがどういう意味なのかは良くわからない。

勝尾寺の紅葉

勝尾寺は実は先日紅葉を見てきた。この寺の紅葉も素晴らしかったので写真だけ添付しておく。ここの紅葉は有名過ぎて、最盛時には10時頃になると駐車場待ちの車で一杯になると思う。この山の上に開成皇子の墓があるそうだ。

明治5年に修験道が禁止され多くの寺院が廃絶されたが、北摂地区は比較的古い寺院が残っているようだ。箕面市にある瀧安寺(りゅうあんじ)は、今も修験道である本山修験宗の根本道場だ。
開成皇子にゆかりのある寺は、ほぼ現在の東海自然歩道に沿って存在する。東海自然歩道そのものが、昔の修験者が切り拓いて作った道なのかもしれない。
修験者になった気持で、これらの寺を巡る山歩きにも一度チャレンジしてみたい。

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若いころはあまり歴史に興味を覚えなかったのですが、50歳のころに勝者が叙述する歴史が必ずしも真実ではないことに気が付き、調べているうちに日本史全般に興味が広がっていきました。

平成21年にBLOGariというブログサービスでブログを始めましたが、容量に限界がありバックアップもとれないので、しばらく新しい記事を掲載しながら、過去の主要な記事を当初の作成日にあわせて、4か月ほどかけてこちらのブログに手作業で移し替え、平成26年の1月に正式にこのブログに一本化しました。
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