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祇園祭の「祇園」とは

もうすぐ京都の祇園祭(ぎおんまつり)だ。

今日10日から鉾町で鉾が組み立てられ(鉾建て)、ついで12日からは山が組み立てられる。
そして山鉾巡行はいよいよ17日で、今年は土曜日だからすごい人出だろう。

山鉾巡行岩戸

京都には有名なお祭りがいくつかあるが、私は子供の頃から祇園祭が大好きだった。今でもあの祇園囃子の音色を聴くだけで気分が高揚してくる。

しかしながら子供の頃に、ふと疑問に思ったことがあった。祇園祭の「祇園」という地名についてである。

「祇園」という場所は、京都市内の東の方を南北に走る東山通り(正しくは東大路通り)と、市内の中心部を東西に走る四条通との交差点あたりを言うが、子供の頃なんとなくこの地名に違和感を覚えた。

京都の中心部は碁盤のように直角に道路が走っていて、京都の地名は、例えば南北を走る河原町通と東西を走る丸太町通との交差点を河原町丸太町などと呼ぶ。ならば、「祇園」は 東山通と四条通とが交差する場所なので、普通なら東山四条と呼んでも良さそうなのに、なぜか「祇園」と呼ばれているのが不思議だった。

京都市内の中心部のバス停の名前は、ほとんどのバス停は二つの通りの名前で地名を表しているのだが、例外となるケースは「○○前」などというように有名な神社仏閣や大学や病院があるようなケースが大半である。しかし、「祇園」はそれにも当てはまらない。すぐ近くに大きな神社があるのだが、「八坂神社」という名前だ。

八坂神社

上の写真は八坂神社の西楼門であるが、この神社に、祇園祭の山鉾などが収められている。しかし「祇園」という名前を連想させる神社仏閣などはどこにも存在しないのだ。

このあたりを昔から「祇園」と呼んでいたのだろうと長い間勝手に解釈していたのだが、学生時代に「祇園」という名前の由来となるお寺が以前は存在していたことを聞いた。しかし、どんなお寺がいつごろ創建されていつ頃なくなったかを詳しく知ったのは、つい昨年のことである。

安永9年(1780)に出版された「都名所図会」巻三には、この地に以前あった寺院の図絵が描かれている。
http://www.d1.dion.ne.jp/~s_minaga/m_gionyasiro.htm

祇園社

説明には、この「祇園社(ぎおんやしろ)」と祇園祭についてこう書かれている。

「…清和天皇貞観十八年*、疫神崇をなして世の人疾に悩むこと以の外なり、曩祖日良麿洛中の男女を将て、六月七日十四日疫神を神泉苑に送る、しかりしより年々かたの如くしつけて、祇園会といふなり。神輿を置所をば八坂郷感神院といふ寺なれば、神殿もなきほどに、昭宣公の御殿をまゐらせられて神殿とす、祇園は尋常の殿舎造りなり、是を精舎といふ、後人又祇園の名を加へけり。」*貞観18年は西暦876年

ここには感神院を祇園祭の神輿の置き場所にしたが、神殿がなかったので昭宣公(藤原基経836~891:摂政関白太政大臣)の御殿を移して神殿としたと書かれている。図には多宝塔があり、薬師堂がありお寺であることは確実だが、神仏習合の時代であり神殿も作られていたのだ。

洛中洛外図屏風祇園

寛永三年(1626)に描かれた「洛中洛外屏風図」にも、祇園社が描かれている。では、今の八坂神社は何なのか。

空から見た八坂神社

今の八坂神社を上から見るとこのようになるが、今の八坂神社は以前は祇園社であったことがわかる。楼門がそっくりそのまま八坂神社の楼門になっていることも明らかだ。

Wikipediaによると祇園社の創建年については656年、876年など諸説があるが、古くから仏教の守護神である牛頭天王(ゴズテンノウ)とそれに習合したスサノオノミコトを祀る神仏習合の施設で、当初は興福寺、10世紀以降は延暦寺の支配を受けていたらしい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E5%9D%82%E7%A5%9E%E7%A4%BE

慶応4年(1868)の神仏混淆の禁止により「感神院祇園社」の名称を「八坂神社」と改められ、薬師堂などの仏教施設は破壊されている。(多宝塔は江戸時代寛政年間[1789~1800]に焼失) 日本全国には、牛頭天王を勧請した祇園社が3053社あったそうだが、明治の廃仏毀釈によりすべて八坂神社(弥栄神社)に改名させられたそうである。
http://www.pauch.com/kss/g023.html

では、「感神院祇園社」の仏像はどこに行ったのか。
これは幸い大蓮寺というお寺に残されているが、十一面観音像以外は秘仏として直接拝観することはできない。祇園社本尊の薬師如来の写真が大蓮寺のHPに載っているが、本尊でありながら光背がないのはやや違和感がある。

祇園社本尊薬師如来
http://www.anzan-no-tera.jp/gion/index.html

大蓮寺の歴史については比較的次のサイトが詳しい。
http://blogs.yahoo.co.jp/hiropi1700/22365330.html

「八坂神社」から祇園祭の山鉾が立ち並ぶ四条烏丸あたりまで、大人が歩いて20分くらいだろうか。その途中で鴨川を渡ることになるが、その橋は「四条大橋」という。

この四条大橋については昨年11月にこのブログに書いたが、明治七年に作られた橋は廃仏毀釈で強制的に供出させた仏具類を鋳潰して橋材に使われたそうである。下の写真がその頃の四条大橋だが、明治の京都人は、どんな思いでこの橋を渡ったのだろうか。

昔の四条大橋
ご参考:「四条大橋のはなし」
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-73.html

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若いころはあまり歴史に興味を覚えなかったのですが、50歳のころに勝者が叙述する歴史が必ずしも真実ではないことに気が付き、調べているうちに日本史全般に興味が広がっていきました。

平成21年にBLOGariというブログサービスでブログを始めましたが、容量に限界がありバックアップもとれないので、しばらく新しい記事を掲載しながら、過去の主要な記事を当初の作成日にあわせて、4か月ほどかけてこちらのブログに手作業で移し替え、平成26年の1月に正式にこのブログに一本化しました。
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