HOME   »  地方の歴史と文化を訪ねて   »  中部地方  »  白骨温泉から奈良井宿、阿寺渓谷を散策のあと苗木城址を訪ねて

白骨温泉から奈良井宿、阿寺渓谷を散策のあと苗木城址を訪ねて

白骨温泉で清々しい朝を迎えて、小鳥の囀りを聞きながら白濁した源泉かけ流しの温泉に浸かったあと、時間があったので宿の近くを20分程度散策した。

三十三観音

旅館から県道300号線に出てしばらく歩くと江戸時代に湯治客の有志が建てたと言われている三十三観音がある。
さらに進むと「竜神の滝」と呼ばれる滝があり、そこから遊歩道が整備されている。

隧通し

原生林の緑に囲まれた道を少しばかり歩くと、湯川が石灰岩を侵食してできた「隧通し(すいとおし)」と呼ばれる天然の洞窟がある。トンネルの出口周辺を「冠水渓」と呼び、紅葉の季節には鮮やかな彩りを映す風景が楽しめるのだそうだ。

旅館に戻って朝食を楽しむ。朝食にはこの旅館の源泉を入れて土鍋で炊いた温泉粥が印象に残った。帰宅してから気が付いたのだが、この旅館では温泉の持ち帰りが出来たようだ。持って帰れば、自宅で温泉粥を楽しめたのにちょっぴり残念だ。

旅館を出て奈良井宿に向かう。中山道の宿場町は、馬籠宿、妻籠宿は3年前に行ってこのブログにも書いたので、今回は奈良井宿に行く旅程を組んでいた。
2年前にはNHKの朝ドラ「おひさま」のロケ地になったこともあり、その頃は観光客がかなり多かったそうだが今はそれほど多くはない。

JR奈良井駅近くの駐車場に車を停めて、古い街並みを歩き出す。散策には奈良井宿観光協会の地図を参考にさせていただいた。
http://www.naraijuku.com/map/naraijuku_map.pdf

奈良井宿杉並木

宿場町の中心部に行く前に、中山道の杉並木が残されている場所に行く。カメラを構えながら、数百年の時代を遡ったような錯覚を覚えた。

二百地蔵

この杉並木を過ぎると二百地蔵と呼ばれる場所がある。これだけの地蔵がこの場所の為に造られたのではなく、案内板によると「明治期の国道開削。鉄道敷設の折に奈良井宿周辺から集められたという」と書かれていた。誰が何のためにこれだけのお地蔵さんを集めたのかがよく解らないのだが、一部の石碑やお地蔵さんの首が折れているのが気になった。ひょっとすると廃仏毀釈と関係があるのかもしれない。

奈良井宿1

八幡宮を抜けて旧街道を歩く。観光客の少ないタイミングを狙って何枚かシャッターを押したが、馬籠宿、妻籠宿では観光客が写らないような画像を撮ることは難しいだろう。
ここにはけばけばしい看板は一つもなく、電柱もなければ自販機もない。このような街並みを残しつつ、現代の生活が行われていることはすごいことであるが、このような街並みが1km近く続いているのは驚きだ。

国の重要文化財に指定されている手塚家住宅(上問屋資料館)がお休みだったので、塩尻市の指定文化財である中村邸に入った。

中村邸

この住宅は櫛問屋であった中村利兵衛の屋敷で、江戸時代の天保8年(1837)から14年(1843)頃に建築されたとされている。
NHKの朝ドラ「おひさま」では、この建物が「飴屋」の「村上堂」として使われたのだそうだ。塩尻市観光協会が作成した「おひさま」ロケ地のマップがある。
http://www.city.shiojiri.nagano.jp/kanko/locachi.files/map.pdf

昭和44年(1969)にこの中村邸を川崎民家園に移築する話が持ち上がり、これを機に町並み保存の機運が高まり、昭和53年(1978)に奈良井宿が国の重要伝統的建造群保存地区に選定されることになったという。
この素晴らしい景観を維持するために地元では様々な苦労があったと推察するが、この町並みをこれからさらに後世に残すことは更に大変な事だと思う。そのためには、もっと多くの観光客がこの地を訪れて、土産物を買ったり食事をしたりすることが必要だ。
地元の人も、この観光資源を活かして観光客を呼び込むアイデアがもっと必要だと思う。
京都ではレトロな人力車や、着物等のレンタルが結構人気があるが、奈良井宿で和服を着て、下駄や草履をはいて歩きたいという人が沢山いるような気がするし、人力車などもこの町並みには良く似合いそうだ。

店の名前は失念したが、お土産に地元の工芸品を買い、おいしい蕎麦を食べて、次の目的地である定勝寺(じょうしょうじ)に向かった。

定勝寺は木曽郡大桑村須原にある臨済宗の寺院で、室町時代初期にこの地を領した木曽親豊が始め木曽川の近くに創建したのだが数回洪水に襲われ、豊臣秀吉が全国を統一したのち、犬山城主石川光吉が慶長3年(1598)に現在のこの地に再建したとされる。

定勝寺山門

この寺の本堂は再建時の頃のもので、江戸時代初期に建てられた山門、庫裏とともに国の重要文化財に指定されている。上の画像が山門で下の画像が庫裏だが、この寺の庭も良い。紅葉の時期は山門付近も庭もさぞ美しいことだろう。

定勝寺庫裏

真夏の暑い季節には緑の多い寺社も良いが、炎天下の中を旅行するには渓谷が涼しくて良い。大桑村には「阿寺渓谷(あてらけいこく)」という素晴らしい渓谷があるので、午後の旅程に組み入れていた。

阿寺渓谷の入口にも駐車場があるが、入口から歩き出すと時間がかかりすぎるので、渓谷の中間地点にある駐車場から遊歩道を歩きはじめる。次のURLに渓谷の地図がある。
http://www.vill.ookuwa.nagano.jp/kankou/plays/nature/nature_atera/nature_map.html

阿寺渓谷6段の瀧

緑深い森の中を進むと6段の滝がある。画像は対岸から写したものだが、3段ぐらいしか見ることが出来なかった。
この渓谷の魅力は何と言っても水の美しさにある。今回は時間がなかったのであまり奥には行かなかったが、エメラルドグリーンの清流は深いところでも川底の石までがくっきりと見える。

犬帰りの淵

上の画像は「犬帰りの淵」のあたりを撮ったものだが、こういう景色を楽しみながら歩くのは楽しい。

苗木遠山史料館

1時間ばかり散策して清新な気分になった後、岐阜県中津川市の苗木遠山史料館に向かう。この史料館は苗木城跡(国史跡)のある高森山の登り口にある。
ここには苗木城の模型や城門の一つである風吹門が展示されているほか、苗木藩の廃仏毀釈の資料などが展示されていた。

苗木遠山史料館の裏から城跡につながる道がある。Wikipediaによると、苗木城は大永6年(1526)に遠山昌利が植苗木(うわなぎ)から高森山に館を移し、天文年間(1532)に遠山直廉が隆盛に苗木城を築いたが、織田信長没後豊臣方の森長可に城を落され、城主・遠山友忠は徳川家康を頼って落ち延びた。その後関ヶ原の戦いの後、遠山友忠の子・友政は、豊臣方の河尻秀長から苗木城を奪い取り、この功が認められて遠山氏はこの地に返り咲き、その後幕末まで苗木の地を治めたのだそうだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%97%E6%9C%A8%E5%9F%8E

苗木城址1

史料館から15分ほど歩けば、苗木城の立派な石垣が見えてくる。上の画像は大矢倉跡だ。

苗木城天守

上の画像は坂下門跡付近から見上げた天守の石垣だ。苗木城の石垣は天然の巨岩をうまく利用しながら積み上げられている。苗木藩は石高わずか一万石の小藩であったが、石垣はなかなか立派であることに驚いた。

苗木城からの眺め

この日は天気が良くて、高森山からの眺めは格別であった。眼下には木曽川が流れ、遠くに中津川の市街地が見える。更に向うに見える高い山は標高2191mの恵那山だそうだ。

高森山を下山して、苗木遠山史料館の近くを散策する。この場所を旅程に入れたのは、苗木城の石垣を見ることもあったが、苗木藩が明治時代の初めに徹底した廃仏毀釈を行なった足跡をこの目で見たかったからである。 この苗木遠山史料館のあたりは、藩主・遠山家の菩提寺であった雲林寺という臨済宗の寺があった場所なのだが、墓を残したまま雲林寺は廃寺とされてしまった。
苗木藩の廃仏毀釈で廃寺とされたのは雲林寺だけではない。藩内には15ヶ寺が存在したのだがその全てが廃寺となっている。また村内に数多くあった無住の阿弥陀堂や観音堂、地蔵堂、薬師堂などは壊されて、仏蔵仏具類は焼かれたり、土に埋められたり他領へ売却され、路傍にある石仏や名号塔、供養塔なども打ち割られたり引き倒されたという。
http://www.d1.dion.ne.jp/~s_minaga/b_naegi.htm

苗木遠山家廟所

史料館の近くに墓地があり、その中に苗木遠山家廟所(中津川市指定史跡)がある。ここには遠山家とその家臣団が眠っている。

雲林寺跡

お墓以外に、寺院の跡地である事をうかがわせるものが、史料館の駐車場のすぐ近くにあった。自然石に文字が彫られているが「菩薩」「菩提」という字が読める。お経の一節なのだろうか。
石の上にはお地蔵さんがあるのだが、首はあとから付けたものであることが明らかだ。

苗木藩の廃仏毀釈のことを書きだすとまた文章が長くなるので、詳しくは次回に記すこととしたい。
****************************************************************
ブログパーツ

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。よろしければ、この応援ボタンをクリックしていただくと、ランキングに反映されて大変励みになります。お手数をかけて申し訳ありません。
    ↓ ↓         


にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ




関連記事
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
FC2カウンター 
アクセス累計
最近の記事プルダウン
全記事表示リンク
ブログ内検索
『しばやんの日々』のブログ内の記事をキーワードで検索できます。検索された全てのブログ記事と、記事の最初の文章が表示されます。
プロフィール

しばやん

Author:しばやん
京都のお寺に生まれ育ち、大学の経済学部を卒業してからは普通の会社に入りました。
若いころはあまり歴史に興味を覚えなかったのですが、50歳のころに勝者が叙述する歴史が必ずしも真実ではないことに気が付き、調べているうちに日本史全般に興味が広がっていきました。

平成21年にBLOGariというブログサービスでブログを始めましたが、容量に限界がありバックアップもとれないので、しばらく新しい記事を掲載しながら、過去の主要な記事を当初の作成日にあわせて、4か月ほどかけてこちらのブログに手作業で移し替え、平成26年の1月に正式にこのブログに一本化しました。
従来のメインのブログでは読者の皆様から、数多くの有益なコメントを頂きましたが、コメントまでは移しきれなかったことをご容赦願います。

またBLOGariは平成29年の1月31日付けでブログサービスが終了して、今ではアクセスができなくなっています。BLOGariの記事URLにリンクを貼ってある記事がもしあれば、左サイドバーの「カテゴリ」の一番下にある「BLOGari記事のURL読み替え」で対照していだければありがたいです。

***********************
Facebook、twitterなどで記事を拡散していただいたり、リンクしていただくことは大歓迎ですが、このブログ記事のURLとブログ名は明記していただくようよろしくお願い致します。

コメント、トラックバック共に歓迎しますが、記事内容とあまり関係ない内容を論拠を示さないまま一方的に自説を唱えたり、どこかの掲示板などの文章をまるまる引用しているだけのコメントは削除させていただくことがあります。

匿名のコメントや質問にはできるかぎり対応させていただきますが、回答する場合はこのブログのコメント欄でさせていただきます。

また、お叱りや反論もお受けしますが、論拠を示さないで一方的に批難するだけのものや、汚い言葉遣いや他の人を揶揄するようなコメントなど、不適切と思われるものぱ管理人の権限で削除させて頂く場合がありますので、予めご了承ください。
***********************

リンク
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
新しいカテゴリに移すなど、カテゴリを時々見直すことがありますので、記事をリンクされる方は、個別記事のURL(末尾が"/blog-entry-***.html")をご利用ください。
年別アーカイブ一覧
RSS登録er
タグクラウド

RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
日本語→英語自動翻訳【星条旗】
このページを英訳したい人は この下のEnglishの部分をクリックすれば ある程度の英語の文章になるようです。
ブログランキング
下の応援ボタンをクリックして頂くと、ランキングに反映されて大変励みになります。お手数をおかけしますが、よろしくお願い致します。
にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ
おきてがみ blogram
ブログランキングならblogram
文字を大きく・小さく
    月間人気記事ランキング
    個別記事への直接アクセス数の今月1日からの合計値です。毎月末にリセットされます。このブログのアクセスのうち6割以上は検索サイト経由、約2割は何らかのリンクを辿って、過去の記事のURLに直接アクセス頂いています。
    51位以降のランキングは、リンク集の「『しばやんの日々』今月の人気ページランキング (全)」をクリックしてください。
    人気ブログランキング 日本史
    「人気ブログランキング」に参加しているブログの1週間の応援ボタンのクリック件数を集計し、日本史部門でランキングを表示したもの。
    ブログ村ランキング 日本史
    にほんブログ村に参加しているブログの、1週間の応援ボタンのクリック件数を集計し、日本史部門でランキングを表示したもの。
    PINGOO! メモリーボード
    「しばやんの日々」記事を新しい順にタイル状に表示させ、目次のように一覧表示させるページです。各記事の出だしの文章・約80文字が読めます。 表示された記事をクリックすると直接対象のページにアクセスできます。
    ツイッタータイムラン
    逆アクセスランキング
    24時間の逆アクセスランキングです。表題の「アクセス解析研究所」をクリックすると、詳細な解析結果が分かります。
    ブロとも申請フォーム
    おすすめ商品
    旅館・ホテル