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天神祭と大阪天満宮とあまり知られていないお寺のこと

7月25日は日本三大祭りの一つである大阪天神祭の日で、随分久しぶりにこの祭りを見てきた。

天神祭1

若かりし頃大阪市中央区の北浜で勤務していた時に、先輩から「祭りを見に行こう」と誘われて、船渡御を少し見てからすぐ飲み屋に向かった記憶がある。そんなことがもう一回くらいあったが、二回ともすごい人だかりで、遠くでいくつかの船が大川を進んでいくのがわずかに見えただけだった。その時は、仕事が終わってから天神祭を見に行ったのでは、良い場所はほとんど陣取られていてとても見られないなと思った。

今年はたまたま日曜日なので、一度このお祭りをじっくり見てみようと思い立ち夫婦で出かけた。

4時過ぎに「竹葉亭」という店で鰻を食べてから大阪天満宮に向かうと、ちょうど玉神輿が神社から出るところだった。
天神祭神輿

こんなふうに凄い人だかりで、カメラを上に掲げて何とか神輿が撮れたのはよかったが、それから後はどこへ行こうにも人が多すぎて、どちらの方角も前に進むのが大変だった。

神輿を追いかけるのをあきらめて、南に進んで船渡御を見るための場所取りに行く。初めてなのでどこがいいかわからず、とりあえず天満橋を目指して進んでいった。

諸国名所百景天神祭

上の絵は安藤広重の天神祭の船渡御の絵だ。この絵は難波橋と書かれているが、今の船渡御のコースは難波橋を通らない。今なら、船渡御を橋近辺で見たければ天満橋か川崎橋で、花火も見たければ南岸で見るのが一番と誰でも考える。

船渡御ルート

やっと天満橋北詰に辿り着くと、警察が谷町筋を閉鎖して交差点から南方面と東方面の歩行者を遮断していたために、やむなく川べりに出て天満橋の下を潜ってから再び谷町筋に出て、天満橋を南に進む。天満橋の途中で場所取りをしようとしたが、橋からの見学が禁止されているらしく、やむなく橋の南側の付け根あたりで場所取りをしたが、暗いところでの撮影はなかなか難しく、今回は無難な写真だけを載せておく。
人が漕いで川を進んだ広重の時代とは違い、今の船はほとんどが内燃機関などで動き、スポンサーの大型の広告が載せられている。

天神祭の船

たまに昔と同様に手漕ぎで進む船もあるのだがもうすこし、このような船が多ければいいのにと思った。

行列の最後の方には奉安船に先程の神輿が載せられて大川を進む。急に鳴り物の音が止まって、人々は二礼二拍手一礼でお見送りする。花火の音だけが妙に大きく響き渡る。

天神祭船渡御

天神祭の話から大阪天満宮に話を戻そう。
半日歩いて途中から私が気になったのは、大阪天満宮は昔から純然たる神社なのかという点である。

「天満宮」という神社は、京都に「北野天満宮」という有名な神社があるが、この神社は江戸時代の「都名所図会」では多宝塔や経所等明らかな仏教施設が多数描かれており、明治の廃仏毀釈以前は神仏習合の施設であった。
「太宰府天満宮」も以前は「安楽寺天満宮」という、寺院を中心とする施設であったのだが、廃仏毀釈により仏教施設がことごとく破壊されている。
大阪天満宮もどこかに仏教施設の形跡があったのではないかと、家に帰ってから調べることにした。

いろいろネットで調べても大阪天満宮に関してはあまり詳しく書いたものが見つからなかったが、大阪天満宮に神宮寺があったことはいろんな人が書いているので間違いがないようだ。やはりここも神仏習合の施設だったのだ。(神宮寺とは、神仏習合思想に基づき神社に建てられた仏教寺院や仏堂のこと。)

豊臣秀吉のお伽衆に大村由己(おおむらゆうこ)という人物がいるが、この人物はWikipediaなどでは大阪天満宮の「別当」であったと書いてある。「別当」ということは、大阪天満宮に神宮寺があり、神社の管理権を掌握していた人物だったということだ。

大阪天満宮は何度も火災にあっており、江戸時代の記録に残っているだけでも七度も火災に遭遇している。有名なのは天保8年(1837)の大塩平八郎の乱によるもので、この時大阪天満宮は全焼している。
現在の本殿はその六年後の天保14年(1843)年に再建されたものだ。

さらに調べると、大阪天満宮の神宮寺にあった鎌倉時代の仏像が今でも残されていることが分かった。

大阪天満宮から北に300m程度行くと「宝殊院」(天満寺)というお寺がある。この場所へは大阪冬の陣、夏の陣の後の復興時に神宮寺が移ったらしく、移転後も相当大きな寺だったらしいのだが、詳しいことはわからない。その堂宇も太平洋戦争で焼失し、今の建物は昭和42年に再建されたモダンな建物である。
http://www12.plala.or.jp/HOUJI/otera-1/newpage115.htm

大阪市のホームページには、大阪天満宮の神宮寺の時代からの鎌倉時代の仏像の写真が紹介されている。

宝殊院仏像

http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000008915.html

まだ行ったことのない寺だが、一度時間を見つけて行ってみたくなった。

大阪天満宮だけではない。八坂神社も金刀比羅宮もそうだが、大きな神社のホームページをいくら読んでも、神仏習合時代のことや廃仏毀釈のことがほとんど欠落してしまっている。これでは、歴史の真実が歪められて伝承されるだけだ。

我々の祖先が何代にもわたって大変な苦労をして文化財を守ってきたことや、時の為政者の軽薄な施策で多くの文化財を失ってきた事実をしっかり脳裏に刻んでこそ、文化財を守ることの重要さと意義を次の世代に伝えることができるのだと思う。

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Comment
神輿が船に乗せられる、というのは珍しいですね。
神輿の起源は、古代イスラエルの契約の箱だと言う人がいますが、私もそうだろうと思います。契約の箱は船に乗せられて運ばれた、と考えられていますが、この神事はそのことを表わしているようで、興味深いですね。
Re: タイトルなし
船渡御が行なわれる祭りは天神祭のほかに東京の住吉神社がありますが、外にも探せばあると思います。
大津の建部神社の船幸祭も有名ですね。

古代ユダヤのアークと日本の神輿は似ているという説もありますが、似ているからと言ってユダヤが伝えたと考えるのはどうかと思います。信仰の対象が違うのですから別物だと考えた方が自然だと思います。
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若いころはあまり歴史に興味を覚えなかったのですが、50歳のころに勝者が叙述する歴史が必ずしも真実ではないことに気が付き、調べているうちに日本史全般に興味が広がっていきました。

平成21年にBLOGariというブログサービスでブログを始めましたが、容量に限界がありバックアップもとれないので、しばらく新しい記事を掲載しながら、過去の主要な記事を当初の作成日にあわせて、4か月ほどかけてこちらのブログに手作業で移し替え、平成26年の1月に正式にこのブログに一本化しました。
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