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芦原温泉からみくに龍翔館、三国港、旧岸名家、養浩館庭園を訪ねて~越前旅行2日目

旅行の二日目は朝から雨だった。
芦原温泉の朝風呂に入り食事をゆっくり済ませたが雨はやまず、雨が止む事を祈りつつ旅程の順番を変更し、まずは「みくに龍翔館」に向かう。

みくに龍翔館2

上の画像が「みくに龍翔館」なのだが、一度見たら二度と忘れないようなユニークなデザインだ。この五層八角形の建物が明治12年から大正3年まで三国に「龍翔小学校」として存在し、「みくに龍翔館」はその小学校の外観を模して昭和56年に建てられた郷土資料館である。

龍翔小学校とエッセル

明治9年に三国を訪れたオランダ人の土木技師G.A.エッセルが、この龍翔小学校をデザインしたのだが、このG.A.エッセルと言う人物はトリックアートの天才画家M.C.エッシャーの父親だということがパンフレットに書いてある。

エッシャー騙し絵

M.C.エッシャーは面白い絵を数多く残しているが、名前を覚えていなくとも、上の絵はどこかで見たことのある人がほとんどだろう。

みくに龍翔館北前船

展示物は三国の自然と古代史、北前船で栄えた三国湊のにぎわいや、三国仏壇、三国箪笥などの工芸品や職人の作業場の復元、三国にゆかりのある文学者の書棚や書斎の復元や、トリックアートなどが展示されており、結構見ごたえがある。

三国祭りの山車

上の画像は毎年5月20日に行われる福井県指定無形民俗文化財である三国祭の、明治時代の山車を復元したものだが、この大きさには驚いた。高さは10mはあるだろう。
今ではこんなに大きなものが曳かれることはないそうだが、以前の三国の町は日本海交易でかなり豊かな暮らしがあったようだ。

建物の5階はこうもり傘のようになっている部分だ。ここから360度の景色が遠望できる。
日本海方面を臨むと、九頭竜川の河口が見え、そこに長い三国港突堤が突出しているのがわかるだろうか。

龍翔館からの日本海

G.A.エッセルが三国に滞在したのは、そもそもはこの突堤を作るためであったのだが、文明開化の風潮の中で三国の人々が三国の繁栄のシンボルとして小学校の建設を計画しており、たまたま三国に来ていたG.A.エッセルにそのデザインを依頼したというわけだ。

G.A.エッセルが来日したのは明治6年(1873)で30歳の時だった。大阪の淀川水系の調査を手始めに各地を回り、三国に来たのが明治9年(1876)。
当時、三国湾に流れる九頭竜川の上流から運ばれる土砂が河口に堆積して船舶が入港できなくなっている問題を解決するために、彼が三国に派遣されたのだそうだ。

土砂が河口に堆積する問題をG.A.エッセルは長い弧形の突堤を作って河口を狭め、九頭竜川の水圧を強めて土砂を吐きだす方法を考えて設計した。彼はオランダに明治11年(1878)に帰国し、工事は同じオランダ人のデ・レイケの監督指導により明治11年に着工し、この突堤が完成したのは明治15年(1882)だという。

三国突堤

雨がやんだので、三国港に向かってこの突堤を見に行く。冬の日本海の風は強く波も荒々しかったが、この厳しい環境で、130年近く経っても未だに土砂を河口から吐きだして、現役の突堤として活躍しているのは素晴らしい。この三国港突堤は明治時代に外国人が作ったものであるにもかかわらず、平成15年に国の重要文化財に指定されていることも凄いことである。

みくに龍翔館のホームページにはG.A.エッセルの記事が掲載されており、それによるとエッセルは母国に帰国後官僚として活躍するのだが、自らの人生を振り返って回想記を綴っているらしい。その中の第二巻が日本に関する記述だそうだが、三国に関する記述が突出して多いそうである。三国での生活が強く印象に残ったのだろうか。
http://www.ryusyokan.jp/escher.html

三国港をあとにして、すぐ近くの旧岸名家に向かう。
旧岸名家は代々材木商を営んでいた新保屋岸名惣介(しんぽやきしなそうすけ)の町屋であり、国の登録文化財に指定されている。

岸名家

このあたりは、北前船全盛期の幕末から明治にかけて三国の商業の中心であったところで、船問屋などが立ち並んでいた場所だったそうだ。

かぐら建て

妻入り屋根の正面に平入りの前半分を付けた建築様式は三国独特のもので「かぐら建て」と呼ばれている。三国には旧岸名家のほかにも「かぐら建て」の民家が多くのこっているようである。

旧岸名家の内部は帳場や台所、座敷などが復元されており、中を見学することもできる。
三国は俳諧が盛んで、岸名家初代の昨嚢が松尾芭蕉の高弟であった支考から文台を授かり「日和山吟社」を結成し、初代の宗匠として三国の俳諧を隆盛に導いたのだそうだ。

この「日和山吟社」は300年たった今も続いているそうである。

岸名家2階

旧岸名家の2階には、立机式といって宗匠の就任式の座席が再現されている。

三国から福井市に向かったが、福井市に近づくと雨が激しく降ってきた。

養浩館庭園2

次の観光地は福井藩主松平家の別邸であった養浩館とその庭園だが、雨の中の鑑賞となってしまった。昔のままで残っているのであればいいのだが、残念ながら建物は昭和20年(1945)の福井空襲で焼失してしまった。また庭園の敷地内に、大正11年に小学校が建てられていたのを移転されて、整備・復元されたものである。

養浩館庭園1

米国に日本庭園専門雑誌の「Sukiya Living(数寄屋リビング)/The Journal of Japanese Gardening」2010年度日本庭園ランキングにおいて、この庭園は3年連続で第3位に選ばれているそうだ。ちなみに第1位は島根県安来市にある足立美術館、第2位は京都の桂離宮で第4位は栗林公園なのだが、紅葉の盛りも過ぎてこの雨では、その価値はよくわからなかった。確かに綺麗な公園ではあるのだが、栗林公園の他にも兼六園など他にも名園がいろいろあるなかで、何故この庭園を米国人が高く評価するのかちょっと不思議に思った。
次のURLが、米国人が選んだベスト50なのだが、日本人の感覚とは違うような気がする。
http://www.rothteien.com/magnet/shiosai2010.htm

隣の郷土歴史博物館にも入り、近くのめしやで昼食にして時間をつぶしたが、雨がやむ気配がなかったので、次の観光をあきらめて帰途につくことにした。

ここ数年間は、旅行して天候に恵まれることが多かったのだが、今回は久しぶりに雨に降られてしまった。
福井県にはまだまだ見たいところがあるので、今度福井方面に行く時は、敦賀から小浜の名所を中心に巡りたいと思っている。
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若いころはあまり歴史に興味を覚えなかったのですが、50歳のころに勝者が叙述する歴史が必ずしも真実ではないことに気が付き、調べているうちに日本史全般に興味が広がっていきました。

平成21年にBLOGariというブログサービスでブログを始めましたが、容量に限界がありバックアップもとれないので、しばらく新しい記事を掲載しながら、過去の主要な記事を当初の作成日にあわせて、4か月ほどかけてこちらのブログに手作業で移し替え、平成26年の1月に正式にこのブログに一本化しました。
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