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飛騨古川から禅昌寺を訪ねて下呂温泉へ~~富山・岐阜・愛知方面旅行2

旅行は二日目の朝を迎えたが、前日から降り出した雨が朝も降り続いていた。
雨に打たれながら露店風呂にゆったり浸かりつつ雲行きや周りの山々を見ても、当面天候が回復しそうな様子ではない。
天気がよければ新穂高ロープウェイに乗って山頂から素晴らしい眺めを見て、帰りに北アルプス展望園地や北アルプス大橋をドライブで巡るつもりだったのだが、予定を変更して飛騨古川に向かい、そこでゆっくりすることにした。

飛騨古川は実は10年ほど前に白川郷に行くバス旅行の途中で降りて30分程度滞在したのだが、前回は祭り広場から「瀬戸川」に沿って少し歩いたぐらいの記憶しか残っていない。
昔は旅行会社が企画したバスツアーに良く行ったのだが、旅行というものは自分で企画するかしないかで、記憶の残り方が随分違うものだ。
今回は時間がたっぷりあるので、おもしろそうなところをじっくり見て行くことにした。

福地温泉の宿から車で1時間半程度走って飛騨古川の駐車場に着いた。

古川祭り会館

雨が降っていたので、最初に「飛騨古川まつり会館」に入ることにした。

飛騨古川まつりは毎年4月19日から20日にかけて行われる気多若宮神社の例祭で、国の重要無形文化財にも指定されている伝統神事である。見どころは絢爛豪華な「屋台行列」と、勇壮な「起し太鼓」だ。

まつり会館屋台

会館内には、古川まつりに実際に使用される屋台や神輿が展示されている。上の画像は白虎台という屋台で、人形は牛若丸と弁慶だ。
古川にはこのような屋台が9台あるのだそうだが、この会館には祭りの当日を除いてそのうちの3台が展示され、定期的に入れ替えられるのだそうだ。

いずれの屋台にも釘は一本も使われておらず、またいくつかの屋台にはからくり人形が仕込まれている。

古川まつりからくり人形1
古川まつりからくり人形2

しばらくしてからくり人形をコンピューター制御で動かす実演があったが、白い装束を着た女性がしずしずと前に進み、一瞬のうちに面をかぶり、扇を開いて舞う細かい動きには驚かされた。お祭りの当日には、からくり人形の操作を人間が行うことは言うまでもない。

古川祭案内

館内のハイビジョンホールでは、3D映像で迫力ある祭りの映像が楽しめた。この会館にきてはじめて「起こし太鼓」の映像を見たが、数百人のさらし姿の裸男たちが担ぐ櫓が、大太鼓を乗せて町中を巡行し、大太鼓の上に載った二人の若者が、ばちを振りおろして深い太鼓の音を響かせる映像は勇壮で迫力がある。是非その日の夜にこの地で見てみたくなった。Youtubeでも「起こし太鼓」の画像を見ることはできるが、大きなスクリーンでの立体映像にはとてもかなわない。
http://player.video.search.yahoo.co.jp/video/a8f841b70a6925f85b04417f95ca6c92?p=%E5%8F%A4%E5%B7%9D%E7%A5%AD&b=1&of=&dr=&st=&s=&pd=&ma=&rkf=1&from=srp

しかし、この勇壮な飛騨古川まつりも、今年は東日本大震災の被害が甚大であったことを配慮して中止されたのだそうだ。祭りの原点がどこにあるかという観点から本来考えるべきだと思うのだか、祭りが国家安泰を願い五穀豊穣を願うものであるならば、何も中止することはなかったのではないだろうか。

古川祭り起こし太鼓

この祭り会館の向かいにある「まつり広場」にある「御旅所」にこの「起こし太鼓」が展示されている。

また、まつり広場の北に「飛騨の匠文化館」がある。
このパンフレットによれば、大和朝廷の時代から寺院仏閣の造営に「飛騨の匠」たちが活躍していたのだそうだが、文化館には釘を一本も使わない木工技術がいくつも展示されていた。

飛騨の匠の技

上の画像の左は「千鳥格子」だが、これをどうやって作ったかを納得するのにやや時間がかかった。この組み立て方を知って感激してしまったが、この技術をはじめて考案した人物は本当に凄いと思う。
左の画像の「1」の部材をつまんで上に引くと、隙間が出来て「0」の部材を縦方向に引き抜くことが出来る。そうすると、他のすべての部材はただ置かれているだけなので、外していって並べると画像の右の様になる。画像の通りすべての部材はすべてが同じ形のものであったのだ。
千鳥格子にするためには、その逆を行えば良いということなのだが、皆さん理解できましたか。

このコーナーには「千鳥格子」以外にもパズルのようなものがいくつかあり、木材を釘を使わずに繋ぐ「継手」などの技を確かめることが出来る。分解したり組み立てたりしているとすぐに時間が過ぎてしまう。

飛騨の匠の技を楽しんでちょうど昼時になったので、すぐ近くの「味処古川」というお店で昼食。写真を撮り忘れたが、飛騨古川ラーメンの定食はなかなか旨かった。

飛騨古川には伝統的な木造建築の町屋が数多く軒を連ね、新しい建物も周囲との調和が良く取れていて街並みがとても美しい。

白真弓

2軒の造り酒屋があって、それぞれが国の登録有形文化財に指定されている。上の画像は「蒲酒造場」だが、軒先に架けられているのは「酒林(さかばやし)」といって、杉の葉を球状に束ねたもので、毎年11月下旬に新酒ができると新しいものに取り換えられるのだそうだ。

三嶋和ろうそく店

古い街並みの中にある明和年間(1764~72)創業の「三嶋和ろうそく店」の作業場。ここではすべてのろうそくが天然の植物原料から手作りで製造されている。全国で和ろうそくを手作りで作っているお店は今では10軒もないそうだ。

飛騨古川の町並み1

歩いているうちに雨も上がった。白壁土蔵の並ぶ瀬戸川沿いの道は本当に美しい。瀬戸川には見事な錦鯉がたくさん泳いでいるのも良い。
この町の伝統を愛し景観を愛する人が多かったからこそ、この街並みが残せたのだろう。こういう道を歩いていると、昔の故郷に戻ったような安らぎを覚えるのだ。

飛騨古川の町並み3

この街には昔ながらの店が軒を連ねて、コンビニもスーパーも、チェーン店のようなものはどこにも見当たらない。昔ながらの景観を残すためには、地域の経済循環を残し、外部資本に頼らずに、古い商店と街の人々との共存共栄関係を維持していくことが重要なのだろう。そのことが観光地としての価値を高めると思うのだが、地域の人々がある程度我欲を捨てなければ、とてもこの街並みを維持できないと思うのだ。

飛騨古川を楽しんで、次の目的地の「禅昌寺」に向かった。
この寺は、平安時代に創建された円通寺という寺院があり、享禄元年(1528)に再建されて禅昌寺に名前が改められたという説や、円通寺と禅昌寺とは無関係だという説など諸説があり、創建年、創建地、円通寺との関係などは確定していないそうだ。

禅昌寺門

天文二十三年(1554)後奈良天皇より十刹(五山に次ぐ寺格)のご綸旨を賜り勅願所(勅命により国家鎮護などを祈願した社寺)とされただけあってなかなか立派なお寺であった。

禅昌寺内部

美術品にも見るべきものがあって、特に雪舟筆の大達磨像はすごい迫力で、しばらくこの絵の前で釘づけになった。
禅昌寺には指定文化財は51もあるのだそうだが多くは宝物館に移されており、以前は宝物館も公開されていたようなのだが、今は見ることが出来ないのは残念だ。

禅昌寺庭

禅昌寺の庭園は「萬歳洞」と呼ばれて岐阜県の指定名勝となっている。庭園の水の流れる音を聴きながら静かに時を過ごせるのはいい。

禅昌寺杉

またこの寺の境内の裏山には推定樹齢1200年の「禅昌寺大杉」がある。周囲は12mもあり国の天然記念物に指定されている。

この寺は下呂温泉に近いのでもっと観光客が多いのかと思ったが、滞在中の観光客は我々だけだった。土曜日だと言うのにこんなに観光客が少なくては、受付にずっと人を置いておくのも大変だろう。せっかく宝物館を作っても、貴重な美術品を観光客に見てもらおうにも、別に受付の人を置かなければならなくなる。人を置くだけの拝観収入がなければ、閉館するしかないであろう。しかし閉館すればこの地を訪れる観光客がさらに少なくなってしまう。

禅昌寺の宝物館には長澤芦雪の大涅槃像などがあるはずなのだが、もっと観光客が集まらないと公開できないのであろうか。せっかくの観光資源をぜひ地域振興のために活かしてほしいと思う。

禅昌寺のあとは宿泊先である下呂温泉に向かう。宿はホテルパストゥールというところだ。
下呂温泉は草津温泉、有馬温泉とともに日本の三名泉に数えられるのだが、無色透明のまろやかなお湯で、入浴すると肌がすべすべになる。
大浴場から南飛騨の豊かな緑が望め、蝉の鳴き声を聴きながらゆったりと風呂に浸かって気分は最高だった。

<つづく>
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Author:しばやん
京都のお寺に生まれ育ち、大学の経済学部を卒業してからは普通の会社に入りました。
若いころはあまり歴史に興味を覚えなかったのですが、50歳のころに勝者が叙述する歴史が必ずしも真実ではないことに気が付き、調べているうちに日本史全般に興味が広がっていきました。

平成21年にBLOGariというブログサービスでブログを始めましたが、容量に限界がありバックアップもとれないので、しばらく新しい記事を掲載しながら、過去の主要な記事を当初の作成日にあわせて、4か月ほどかけてこちらのブログに手作業で移し替え、平成26年の1月に正式にこのブログに一本化しました。
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