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ルーズベルトはなぜ黄色人種の中国を連合国陣営に残そうとしたのか~~米国排日11

「米国排日」シリーズの最初の記事で『昭和天皇独白録』の冒頭の文章を紹介した。

「大東亜戦争の遠因
この原因を尋ねれば、遠く第一次世界大戦后の平和条約の内容に伏在してゐる。日本の主張した人種平等案は列国の容認する処とならず、黄白の差別感は依然存在し加州移民拒否の如きは日本国民を憤慨させるに充分なものである。…
かゝる国民的憤慨を背景として一度、軍が立ち上がつた時に、これを抑えることは容易な業ではない。」(『昭和天皇独白録』文春文庫p.24-25)
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-260.html

昭和天皇

昭和天皇は太平洋戦争の遠因は人種問題であったと指摘しておられるのだが、前回までこのブログで縷々紹介してきたように、この昭和天皇のご指摘が正しいことを確認できる史料は、当時の日米の新聞報道や著作やポスターなど、ネットでいくらでも見つけることが出来る。
にもかかわらずわが国においては、このような史実の一切を無視した歴史が記述され、人種問題の観点から日米戦争を考える機会を国民に与えられることがほとんどなかったのである。
このブログで何度も書いてきたように、歴史とは単なる史実の叙述でない。いつの時代もどこの国でも、歴史は勝者にとって都合よく書き換えられ、時には史実がねじ曲げられて叙述されたものである。そしてわが国の日本史教科書などに書かれている近現代史は、基本的に「戦勝国にとって都合の良い歴史」であると考えて良く、「戦勝国にとって都合の悪い史実」が書かれることはほとんどないのだ。

もし、太平洋戦争の遠因が人種問題であることを裏付ける史実が日本人に広く知れわたっていたとしたら、どうなっているかを考えてみればよい。その場合は、戦勝国が戦後わが国に戦争責任の全てを押し付けた歴史観が、わが国で成り立たなくなってしまうはずである。そうすると、今度は戦勝国の戦争犯罪が浮かび上がり、アメリカが悪者にならざるを得ないのである。
だからアメリカはわが国が歴史観を変えようとする動きがあれば今も不快感を示し、中国・韓国とわが国の左翼を刺戟する方法でわが国に圧力をかけてくるのだ。アメリカと中国・韓国およびわが国の左翼勢力は、わが国の歴史観を固定化させるためにウラでは繋がっているのか知れないが、わが国が「自虐史観」で洗脳されている状態が好都合である点では利害が一致している。なぜ、こういうことになってしまったのかを調べていくと、ルーズベルト米大統領の深謀遠慮によるものだったようだ。

太平洋戦争における人種問題

イギリスの歴史家クリストファー・ソーンの『太平洋戦争における人種問題』という本にこのような記述がある。

「…オランダの首相P.S.ヘルブランディが、日本の勝利によって白人の威信が脅かされていると声明したとき『ボンベイ・クロニクル』*はいち早くそれをとり上げ、次のように論じています。

『日本を罰するための戦いが、中国人、インド人、フィリピン人、東インドの人びとの助力のもとに行われているのは、日本に対して…「白人の威信」を擁護する為ためであり、日本の主たる罪とは明らかに侵略ではなくして、有色人種であるということである。』

このような警告や抗議の声に、アメリカの要人たちは無関心ではいられませんでした。彼らの多くが心配していたのは、戦争中、さもなければ、戦後にでも、汎アジア的、あるいは汎有色人種的運動が勢いを得るのではないかということでした。たとえば議会の有力者たちは、ひそかに国務省に対して『黄色人種と白人との間の人種戦争』は、まもなく白色人種の存在そのものを脅かすことになるかもしれないと警告しました。ローズヴェルトは同じ理由から、中国をぜひとも連合国陣営にとどめておかなければならないと力説しました。そして1945年3月にも、有色人種世界が敵対する恐れは今後も存在するだろうと強調しました。国務長官のコーデル・ハル、後任者のエドワード・ステティニアス、それに前の駐日大使ジョゼフ・グルーらはいずれも、国務省の極東部長が1942年に述べた議論と同じ趣旨のことをひそかに口にしていました。それは、もし中国とインドが対日戦から離脱するようになれば『日本は当然、心理的に、世界の有色人種とまではいかなくても、アジア人種の指導者として確固たる地位を手にするだろう。そうなれば、連合国が日本を打ち破ることはあやしくなってくるかもしれない』ということでした。」(『太平洋戦争における人種問題』p.43-45)
*『ボンベイ・クロニクル』:インドの国民党系の新聞 1942.2.14付

250px-Cairo_conference.jpg

1943年11月22日に、ルーズベルト米大統領、チャーチル英首相に蒋介石を交えてカイロ会談が開かれ、この会談で連合国の対日方針が定められたのだが、この会談に蒋介石を出席させたのはルーズベルトのようである。

Wikipediaには、次のように解説されている。

「この会談に蒋介石を出席させたのはルーズベルトであり、日本と休戦協定・単独講和を結ぶ事で抗日戦を断念して連合国の戦線から脱落する恐れがあった中国を米英ソの三巨頭に加えて祭り上げ、台湾の返還や常任理事国入りさせて激励させて士気を高めさせるためと言われている。対戦中、親英米派である蒋介石が英米からの支援が少ないことに不満を持っており、日本に寝返るのではないかと噂が絶えなかったが、支援がふんだんに貰えると聞いて夫人同伴でカイロに来た。そして日本を無条件降伏させるまで戦う事を約束し、蒋介石が日本と停戦する事を禁じた。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%AD%E5%AE%A3%E8%A8%80#cite_ref-3

このカイロ会談蒋介石を出席させることにチャーチルは反対したようなのだが、ではなぜルーズベルトは中国を連合国陣営に残すことにこだわったのだろうか。

この点については、日下公人氏の解説が一番すっきりと理解できる。

日下公人

ルーズベルトが最も恐れたのは、日本が『有色人種を解放するために戦う』と宣言することだった。だから、昭和18年に蒋介石を連合国の一員に加えたのである。大義名分として、『連合国陣営にも有色人種がいるのだから、これは人種間戦争ではなく民主主義とファシズムの戦いである』と言うためである。
昭和12年の時点で、世界で最もファシズム路線の国は中華民国である。蒋介石が一番ファシストだった。ヒトラーもムッソリーニも、その当時の蒋介石にくらべれば、ファシストとしてはまだまだ可愛いものだった。
だから、アメリカの上下両院は、蒋介石を連合国陣営に加えることに大反対した。この戦争は軍国主義に対する戦いなのに、蒋介石はファシストではないか、というわけだ。
蒋介石はそれを知って、宋美齢夫人を派遣して、『日本の方がもっと軍国主義である。中華民国を助けてくれ、私の夫を助けてくれ』とPRした。その費用は、アメリカからもらった対中国援助の中から払った。」(『人間はなぜ戦争をやめられないのか』p.306-307)

img20130113130945662.png

「ルーズベルトが最も恐れたのは、日本が『有色人種を解放するために戦う』と宣言することだった」ということは充分にあり得ることであることは、当時の新聞記事を読めば納得できる。
今まで何度か紹介した神戸大学付属図書館デジタルアーカイブの新聞記事文庫の記事検索で、昭和10年9月29日の神戸新聞の記事が見つかった。
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?LANG=JA&METAID=10014560&POS=1&TYPE=IMAGE_FILE

白人の戦慄

「ワルワル事件**を発端として東アフリカの一角に捲き起った戦雲は、単にイタリー、エチオピヤ間の紛争のみに止まらず、全欧洲、全世界を挙げて喰うか喰われるかの一大闘争のルツボに叩き込まんとして居る。それは単に国際連盟の面目問題であるとか、英仏伊三強国の利権争いなどと云う単純な問題ではない。実に白色人種対黒色人種の戦いであり、進んで 全有色民族を打って一丸とせる白人世界への挑戦にまで発展する可能性を備えて居る。この点に関しては白人自身が最も鋭敏に感得し、人種問題については非常に神経過敏になって居る。殊にこの人種戦争の先頭に勇猛果敢なる民族として白人の最も畏怖する皇道日本が、剱をとって立たん事を極度に怖れて居る。これ等の事実は彼等の著述の随所に発見し得る所で彼等はそれが為めにあらゆる手段を以て黒人を嚇し、或は之を懐柔しつつある。」
**ワルワル事件:第二次エチオピア戦争(1934-35)の発端となった、イタリア軍とエチオピア軍との軍事衝突。

わが国が有色人種のリーダーとして全世界の有色人種の民族解放のために戦うことを白人がそこまで怖れていたのなら、わが国は白人が怖れていた通りに「有色人種の植民地解放」を前面に出し、アジア・アフリカの有色人種国家の独立を支援し、中国をも味方につけて戦えば、その後の歴史は別の展開になっていたのではないか。
アメリカの兵器工場があったデトロイトでは戦争中の1943年に黒人の大暴動が起こり、3日間にわたり都市機能が麻痺したのだが、わが国が有色人種の希望の星と広く認識されていたのなら米黒人による大暴動はデトロイトだけではすまず、全米各地でストやサボタージュが起こって、アメリカは戦争どころではなくなっていたのではないかと考えてみたりもする。

ルーズベルト

しかしルーズベルトは、中国をうまく連合国に加えることで黄色人種の間に対立軸を作り、わが国の勝ち筋を消すことを考えたということだろう。
それも、ただ中国を加えるだけでは白人が有色人種を支配する世界を守れそうもない。そこで、日本軍の残虐性を世界にアピールするプロパガンダで、米黒人を含めた全世界の有色人種が民族の独立・解放のために日本軍に協力する動きを封じる動きに出たのだと思う。

その後第二次世界大戦が終わり、アジア・アフリカの多くの国々が次々と独立を果たしていくのだが、中国と日本の対立軸と日本軍の残虐性についての数多くのデマ宣伝が残された。
このルーズベルトの深謀遠慮による影響が、今も日中韓3国の領土問題や歴史問題に微妙に繋がっているような気がしている。

アメリカの経済覇権がいつまで続くかはわからないが、黄色人種国である日中韓3国の間に領土問題や歴史問題で如何なる対立があったところで、アメリカにプラスになることはあれ、マイナスになることは何もないのだ。

アメリカや中国の排日の歴史を学ぶと、今中国やアメリカで起こっていることは20世紀の前半で実際に起こったこととどこか類似しているのが気になるのは私だけではないだろう。
歴史の真実を学ぼうとしないわが国に対しては、過去と同じように「排日」が仕掛けられ、わが国の企業が苦労して海外で開拓した生産拠点や営業基盤を、奪われることにならないかと心配でもある。

中国や韓国がわが国を挑発し、アメリカがわが国に圧力をかけている今こそが、真実の歴史を学び、戦後の長きにわたり戦勝国から押し付けられてきた歴史観から脱却すべき時期であると思うのだが、「戦勝国にとって都合の良い歴史」に洗脳されてしまった日本人の歴史観を変えることは容易ではないだろう。拙文で採り上げたような史実が、少しでも広まっていくことを祈りたい。
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若いころはあまり歴史に興味を覚えなかったのですが、50歳のころに勝者が叙述する歴史が必ずしも真実ではないことに気が付き、調べているうちに日本史全般に興味が広がっていきました。

平成21年にBLOGariというブログサービスでブログを始めましたが、容量に限界がありバックアップもとれないので、しばらく新しい記事を掲載しながら、過去の主要な記事を当初の作成日にあわせて、4か月ほどかけてこちらのブログに手作業で移し替え、平成26年の1月に正式にこのブログに一本化しました。
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