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古き日光の祈りの風景を求めて~~日光観光その1

栃木県の宇都宮に行く用事があったので、ついでに一泊して日光に行ってきた。
中禅寺湖方面は紅葉が見ごろを迎えていたため渋滞が避けられないので諦めて、東照宮、二荒山神社、輪王寺の二社一寺のほか、古い日光の姿を残している場所を求めて、観光客のあまり行かない場所をルートに入れてみた。

深夜バスで早朝に宇都宮駅に着いてレンタカーを借りて、最初に向かったのは開山堂と瀧尾(たきのお)神社である。いずれも無人なので次のURLの地図などを参考にして、瀧尾神社をカーナビの目的地に設定して出発した。
http://www1.ocn.ne.jp/~mtnikko/kaizanndoutakinoo.html

開山堂と観音堂

神橋(しんきょう)のT字交差点を右折し、道なりに進むと稲荷川を渡る橋があるが、その橋の手前を左折して細い道を500m程度進むと、観音堂(県指定有形文化財)と、日光を開山した勝道上人の霊廟である開山堂(国重文)がある。
駐車場のスペースはこのあたりに4台程度あるだけだが、早く来た甲斐があって停めることができた。

観音堂には将棋の駒がたくさん奉納されているが、よくみると、将棋の駒はすべて「香車」ばかりである。観音堂の案内板を読むと「将棋の駒の香車が戻らずに直進する駒なので、妊婦がこの駒を持ち帰り、自宅の神棚に祀ると、無事出産できるという安産信仰」だと解説されていた。無事に出産すると新しい駒をつけて返納するので、駒は増え続けることになる。
観音堂の本尊は聖観世音菩薩で仏教施設なのだが、石の鳥居が正面にあるのが面白い。
神仏混淆の名残なのだろうが、昔はこのような祠が全国各地にあったのだろう。

開山堂の本尊は運慶作と伝えられる木造地蔵菩薩坐像で、勝道上人とその十大弟子の像も祀られているそうだ。毎年4月1日の開山祭が行なわれて、そのときに内部が公開されるのだという。

開山堂と杉並木

開山堂の奥に勝道上人の墓とされる五輪塔があるが、この辺りは大きな杉並木に囲まれて陽光はほとんど入らず、墓は苔むしていて、日光の長い歴史を感じさせる場所でもある。

仏岩

そのさらに奥には岩窟があり、日光を開山した勝道上人は、弘仁8年(817)3月1日に入寂し荼毘に付された後、この地に埋葬されたと伝えられている。岩窟には六部天と呼ばれる6体の石像が並んでいる。
この石像の上にある岩壁に、むかし仏の姿をした岩が並んでいたそうだが、地震で岩が崩壊れてしまって消失してしまったという。にもかかわらず、今もこの岩を「仏岩(ほとけいわ) 」と呼ぶのだそうだ。

さらに北に進んで、瀧尾神社の入口に到着した。
滝尾高徳水神社という小さな祠があり、その周囲に15台程度駐車できるスペースがある。

瀧尾神社の歴史を調べると、弘仁11年(820)に弘法大師空海が建立したとされ、かつては二荒山神社(新宮)、本宮神社(本宮)、とともに日光三社権現の一つで、六十六部聖が法華経を納める聖地であったというのだが、今は二荒山神社の別宮となっている。

白糸の滝

滝雄神社に続く石段の左に、白糸の滝と名付けられた高さ10m程度の小さな滝がある。

影向石

急な石段を登って行くと、弘法大師が神霊の降下を祈願したという影向石(ようごうせき)がある。

瀧尾神社鳥居

しばらく進むと、「運試しの鳥居(国重文)」と呼ばれる石造りの鳥居がある。
鳥居の中央には丸い穴があり、この穴に小石を3つ投げて、穴を通った数で運を試したということからこの名が付けられたのだそうだ。
無人の神社なのだが、参道は思いのほか綺麗に掃き清められていた。

滝尾神社楼門

これが瀧尾神社の楼門(国重文)だが、明治の神仏分離以前は左右に仁王像があり、中央には「女体中宮」と書かれた扁額があったという。

瀧尾神社拝殿

楼門をくぐると拝殿(国重文)がある。この建物は正徳3年(1713)に建てられたものだが、ずっと昔は倍くらいの規模があって、左側は谷下まであって、清水の舞台の様に高床が造られていたという。

瀧尾神社拝殿と本殿

拝殿の奥には本殿(国重文)があり、本殿の入口には唐門(国重文)がある。この建物も拝殿と同じ年に建てられたものだそうだ。
普通の神社の本殿は、背面に扉が設置されていることはないのだが、この本殿の背面には扉があり、ご神体である女峰山が遥拝できるようになっている。

瀧尾神社三本杉

また本殿の奥にはご神木の三本杉が祀られている(鳥居は国重文)。
この場所は弘法大師がこの場所で修業をしたときに、田心姫命(たごりひめのみこと)が現われた場所だと伝えられている。

瀧尾神社子種石

さらに進むと瀧尾稲荷神社や酒の泉や子種石がある。上の画像は安産を祈願すれば霊験があるという子種石だが、石の前の鳥居も国の重要文化財に指定されている。

瀧尾神社の散策を終えた後、再び細い道を走って神橋の交差点に戻り、レンタカーを輪王寺の近くの駐車場に入れて、徒歩で日光の中心部の散策をはじめることとした。

神橋

神橋の紅葉の写真を撮ってから、神橋から続く遊歩道を右に進んで150mほど進むと四本竜寺の観音堂(国重文)と三重塔(国重文)が見えてくる。地図は次のURLが参考になる。
http://www1.ocn.ne.jp/~mtnikko/sihonnryuji.html

前回の記事で、日光山は天平神護2年(766)に勝道上人によって開かれて四本竜寺が建立され、その後山岳信仰の場とし多くの行者が修行に訪れるようになったことを書いたが、日光山の草創の地はこの辺りであり、奈良、平安時代にはこの場所が日光の中心場所だったのである。

四本龍寺三重塔

四本竜寺の三重塔は、源実朝の供養のために、仁治2年(1241)に現在の東照宮の地に建てられたものを後にここに移したのだそうだが、貞亨の大火(1684)で焼失してしまい、翌年に再建されたものが現在残されている。

本宮神社拝殿

三重塔から続く参道に沿って本宮(ほんぐう)神社があるが、この神社の創建は、神護景雲元年(767)に勝道上人が二荒山(男体山)の神を祀る祠を建てたことに始まるとされる。上記画像は本宮神社の拝殿(国重文)である。

瀧尾神社の説明で触れたが、かつては二荒山神社(新宮)、本宮神社(本宮)と瀧尾神社が日光三社だったのだが、今では訪れる観光客はわずかしかいなくて、二荒山神社の別宮となっている。

本宮神社本殿と四本竜寺の三重塔

上の画像は本宮神社の本殿(国重文)なのだが、本殿の後ろに四本竜寺の三重塔が見えるところがいかにも日光らしいところである。
明治の廃仏毀釈が行なわれるまでは、このような風景が各地にあったと思うのだが、日光では神仏習合の名残ではないかと思われるところが少なくないのだ。

東照宮が遷座されるまでは、日光参詣の中心地は瀧尾神社や本宮神社であったのだが、江戸幕府が威信をかけて日光を再開発したことにより、日光の祈りの風景がすっかり変わってしまった。

瀧尾神社や四本竜寺や本宮神社には、東照宮や二荒山神社や輪王寺のような立派な建物はどこにもないのだが、大きな建物ではとても感じることのできない不思議なパワーがあり、癒されるのである。

風光明媚な場所に美しい日光の自然と調和する建物が建てられ、千年以上の長きにわたり人々の信仰を集めてきた「聖地」は、無人ではありながら、今も地元の人々により参道が綺麗に掃き清められて、参拝者の訪れを待ち続けているかのようである。
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【ご参考】
このブログで、神仏習合の風景を訪ねて記事に何度か書きました。
良かったら覗いて見てください。

東大寺二月堂に向け毎年「お水送り」神事を行う若狭神宮寺を訪ねて~~若狭カニ旅行1
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-217.html

吉備路の古社寺を訪ねて
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-95.html

香住から但馬妙見山の紅葉と朱塗りの三重塔を訪ねて~~香住カニ旅行2
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-228.html

但馬安国寺の紅葉と柏原八幡神社の神仏習合の風景などを訪ねて
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-289.html

日吉神社、大垣城、南宮大社から関ヶ原古戦場に向かう
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-338.html


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Comment
素晴らしい朱
こんにちは。日光といえば東照宮と渋滞しか知らず、こちらの古い日光を拝見して勉強になりました。いつも素晴らしいご教授に感動です。

神仏分離前のお姿の方がしっくり来る気がします。不思議だなぁ。
今年の連休は熊野方面ばかり巡ったのですが、こちらは神社合祀政策が甚だしかったです。無人の社殿でも地元の方々が掃き清められていて、どこも清々しくお参りが出来ました。
過疎化著しい地区では却って合祀して良かったところもあるのかもしれないなと思いました。

一度は日光に行かなくては。
Re: 素晴らしい朱
つねまるさん、コメントありがとうございます。

日光の東照宮もいいですが、古日光もなかなか良かったですよ。日光を観光する大半の人々は東照宮だけを観光して帰られるようですが、もう少しいろんなところを探して歩くといろんな発見があって楽しいです。

つねまるさんも、古い寺社まわりがお好きなようですね。もし日光に行く機会があれば、是非ルートに入れてみてください。
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若いころはあまり歴史に興味を覚えなかったのですが、50歳のころに勝者が叙述する歴史が必ずしも真実ではないことに気が付き、調べているうちに日本史全般に興味が広がっていきました。

平成21年にBLOGariというブログサービスでブログを始めましたが、容量に限界がありバックアップもとれないので、しばらく新しい記事を掲載しながら、過去の主要な記事を当初の作成日にあわせて、4か月ほどかけてこちらのブログに手作業で移し替え、平成26年の1月に正式にこのブログに一本化しました。
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