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淡路人形浄瑠璃と高田屋嘉兵衛と淡路特産玉葱の「七宝大甘」~~淡路島文化探訪の旅3

お昼に鱧料理を堪能し、再び淡路島のドライブを続ける。

つぎに紹介したいのは淡路島の伝統芸能である人形浄瑠璃だ。大阪の文楽や徳島の阿波人形などのルーツだと言われており、昭和51年(1976)に国の重要無形民俗文化財に指定されている。

淡路島人形浄瑠璃の歴史は南淡路市のHPに簡記されている。
http://www.city.minamiawaji.hyogo.jp/index/page/dbb2afd6c95a4c8fc86b63d694339cda/
が、もう少し詳しく知りたい人は、次のサイトが詳しい。

郷土史家の菊川兼男さんが監修した「ネットミュージアム兵庫文学館 淡路人形浄瑠璃」
http://www.bungaku.pref.hyogo.jp/kikaku/awaji/index.htm
淡路人形浄瑠璃生年研究会
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/1719/awajinin1.htm

淡路島人形浄瑠璃

それぞれ微妙に内容が異なるが簡単にまとめると、淡路人形の発祥は今から500年余り前に、西宮の戎神社に仕えていた百太夫(ひゃくだゆう)という傀儡師(くぐつし:人形遣い)が、現在の南淡路市三原町市三條に来て人形の使い方を伝授したことに始まると言われている。
細川家の衰退とともに、それまで神事に舞楽奉仕を行うことを職業としていた楽人たちは、新たな神事芸能を創造すべく上方から伝えられた「式三番叟(しきさんばそう)」の奉納を人形操りによって行いました。これが淡路人形浄瑠璃のルーツとなる。

続いて今から約400年前、慶長年間(1596-1614)に、京都で始まっていた三味線を伴奏楽器とする古浄瑠璃と人形操りとが提携して人形浄瑠璃が成立したと言われているが、江戸中期の『和漢三才図会』という百科事典には、最初に古浄瑠璃と提携した人形繰り師として淡路島出身の第二代引田源之丞の名前が書かれているのだそうだ。

その後淡路人形浄瑠璃は阿波の殿様(淡路国の領主でもある)の保護を受けて発展し、江戸中期には淡路に40を超える人形座が出来、それに携わる人が900人余りもいて、東北から九州にかけて広く芝居の巡業をしていたそうだが、その後人形座は次第に減少して、今は「淡路人形座」と「市村六之丞座」の二つだけだという。

「淡路人形座」は、鳴門海峡の近くの大鳴門記念館にある「淡路人形浄瑠璃館」では毎日公演がなされているが、この公演は数年前に見ているので今回は淡路人形浄瑠璃発祥の地の南淡路市三原町にある「人形浄瑠璃資料館」に行ってきた。この資料館は南あわじ市三原図書館の二階にあり、「市村六之丞座」の人形や衣装や台本など古い資料が展示されており、スタッフの丁寧な説明を受けることができるうえ、再現された舞台でビデオの鑑賞も出来る。

式三番叟

上の画像は「式三番叟」の人形だが、現在でも三番叟は、人形座が各地で公演を行う前に、無事安全を祈願して奉納が行われているそうだ。YouTubeで探すと5年前の正月に「淡路人形浄瑠璃館」座員によって三条八幡神社脇宮戎社に奉納された、三番叟奉納の動画が見つかった。
http://www.youtube.com/watch?v=q0ITUqyUmJY

人形浄瑠璃といえば「文楽」の方が今は有名だと思うのだが、もともと「文楽」は淡路出身の浄瑠璃語り植村文楽軒(1751-1810)による人形芝居が大阪で人気を博して広まったものだそうだ。文楽も淡路人形浄瑠璃も三人で人形を操るのは同じだが、決定的に異なるのは技芸員は文楽は男性だけなのに対し淡路人形浄瑠璃の場合は太夫や三味線に女性が多いことと、人形が文楽と比較してかなり大きいことだという。淡路人形浄瑠璃は人形が大きいゆえに表情がわかりやすく、素朴で迫力があると海外でも評価が高く、海外公演も何度も行われているようだ。

地元の三原高校には創部60年近い歴史を誇る「郷土部」があり、淡路人形浄瑠璃の伝統の継承に取り組んでいる。2年前の朝日新聞の記事によると、ハンガリーやカナダ、台湾、フランスと計4度の海外公演も経験し、卒業生のうち7人は「淡路人形座」でプロとして活躍しているという。
https://aspara.asahi.com/column/bunkasai/entry/99gmdmTW3I

たまねぎ畑

資料館を出るとすぐ横の畑で玉葱の収穫をされていた。淡路島は玉葱の名産地だが、これだけ大規模な玉葱畑の収穫を初めて見た。

淡路島に来れば必ず玉葱を買うのだが、いつも買う場所は決めている。今回も予定通り、県道31号からウェルネスパーク五色に行く坂道の途中にある「菜の花農園」という直売所に行く。

菜の花農園

農業を営むオーナー夫妻が米や野菜を販売しているが、ここの名物おばちゃんとの会話が実に楽しい。話しているうちに、淡路島でしか出回らない「七宝大甘(しっぽうおおあま)」1箱を勧められて買ってしまった。

七宝大甘

今回買ったもので直径が12-14cm程度だが、以前はもっと大きいものを買ったことがある。 この品種はちょっと割高だが、甘みがあって辛みがなく、サラダで食べるのに最高の玉葱だ。

このブログで時々書いているが、私は車を走らせては野菜や果物を産直販売所で買ったり農家から直接買ったりすることが多い。野菜や果物の本物の味はこういうところのものを買わないと味わえないし、生産者の地元で買うことが地元にとっても良いことだと思うからだ。

大手スーパーは、流通コストを下げ、廃棄を減らすために、腐らないよう、傷まないよう、運びやすいように、農家には農薬を使って実が熟さない段階で大量に刈り取り出荷することを指導してきた。だから都会の消費者の大半は、本物の野菜や果物の美味しさを忘れてしまっているか知らないままでいるのが現状だ。
また、今のやり方では、大半の農家は大手流通に買いたたかれて利益はほとんど残らない。利潤を蓄積していくのは、主に大手流通業者だろう。農業では生活ができないために田舎で若者は都会に出て働くこととなり、そのために田舎は高齢化・過疎化が進んでいくばかりだ。

何百年もかけて固有の文化や伝統を培い継承してきた地域は淡路島に限らず全国各地にあるが、多くの地域でその文化や伝統を支えてきた仕組みが崩れてきている。
地域の文化や伝統はその地域経済の豊かさによって支えられてきたのだが、都会資本の企業に席巻されて多くの商店や製造業者は廃業し、多くの農家は後継ぎが都会に定住して戻ってこない。この流れを放置したままで、素晴らしい地方の文化や伝統をどうやって後世に残すことができるのだろうか。
文化や伝統だけでなく文化財も同様だ。檀家や氏子が減っていくばかりの寺社がどうやって、古い建築物や仏像などの文化財を守れるのかと思う。

田舎の高齢化・過疎化が更に進んでいけば、水源の維持管理や治安や防災や道路の維持管理から文化財の修理や管理などの大半のコストを、いずれは都市住民が負担せざるを得ない時代が来ることになってしまうだろう。個々の企業が利潤を追求することを放置したままでは、この流れが止まることはないのだと思う。

しかし、都会の消費者が田舎に行って地域の農産物や特産品を買ったり、ネットで地元の農家に注文して買うなどして、直接地方の生産者や地元業者から一次産品や加工品などを買う人が増えれば増えるほど、その地域は潤う。少しでも多くの都会の消費者がそういう行動をとることによって、田舎の高齢化・過疎化や地方文化の消滅の危機が少しは解消方向に向かうことにはならないのだろうか。補助金などをもらって生きるのではなく、生産したものが売れて生計がたてば、田舎で生活することに誇りが持てる効果もあるだろう。

東日本大震災を機に、高知県で津波の怖れのある都市部と高齢化で悩む山間部とがタッグを組んで共存共栄を図る動きがあることを知ったが、このような動きが全国で拡がっていけば、地方に若い世代が家業を継いで、地域の文化と伝統を守ることにつながるのではないかと期待している。
http://www.asahi.com/kansai/kouiki/OSK201106090040.html

話が随分飛んでしまったが、地域の伝統文化を守るためにはそれを支える人々の経済をも配慮する必要があり、地元で若い人が残って文化が継承されるようにしていくことが大切だということが言いたかった。要するに三世代同居の家のない地域に文化の継承は難しいのだ。

「菜の花農園」の名物おばちゃんに別れを告げてさらに坂を登ると、「ウェルネスパーク五色」があり「高田屋顕彰館・歴史文化資料館」がある。

辰悦丸

この資料館は幕末の英雄・高田屋嘉兵衛の業績や生涯を紹介する施設で、高田屋嘉兵衛がはじめて持った船である辰悦丸を2分の1のサイズに復元した模型や、当時の船に使われた道具、蝦夷地の地図などの北方資料や高田屋の経営文書などが展示されている。

高田屋嘉兵衛の話は長くなるので、もう少し勉強してからいずれチャレンジすることにしたい。
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若いころはあまり歴史に興味を覚えなかったのですが、50歳のころに勝者が叙述する歴史が必ずしも真実ではないことに気が付き、調べているうちに日本史全般に興味が広がっていきました。

平成21年にBLOGariというブログサービスでブログを始めましたが、容量に限界がありバックアップもとれないので、しばらく新しい記事を掲載しながら、過去の主要な記事を当初の作成日にあわせて、4か月ほどかけてこちらのブログに手作業で移し替え、平成26年の1月に正式にこのブログに一本化しました。
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